思い出の椅子を、次の世代へ
ある日、お客様が一枚の写真をお持ちになりました
少し色あせた、昔の写真です

そこに写っていたのは、若い頃のお客様と、ご家族
そして、その隣にある一脚の椅子でした
その椅子は、もう40年近く前からご家族の暮らしの中にあったもの
長い年月の中で、生地は擦れ、汚れも目立つようになっていました
クッションも傷み、木部にもところどころ補修が必要な状態です
「もう古いから、処分したほうがいいのかな」
そう考えていたそうです
けれど、その椅子を見るたびに、昔の家族の時間が思い出される
だから、捨てることができなかった
そこでル・ドファンにご相談いただきました
椅子には、家具以上のものが残っている
家具は、長く使えば使うほど傷んでいきます
生地は擦り切れ、クッションはへたり、木部にも傷がつく
新品の家具と比べれば、見た目だけなら古く感じるかもしれません
でも、長く使ってきた家具には、新しい家具にはないものがあります
そこに座った時間
家族と過ごした時間
子どもが小さかった頃の記憶
何気なく交わした会話
そして、写真には残っていないような、たくさんの暮らしの記憶です
だから私たちは、椅子を張り替えるとき
単純に「古くなった生地を新しくする」とは考えていません
その椅子がこれまでどんな時間を過ごしてきたのか
そして、これからどんな場所で使われていくのか
そこまで考えて、ご提案します。
まず、椅子そのものを見ます

今回の椅子も、長い年月を過ごしてきたことがわかる状態でした
表面の生地だけを張り替えればいい、というわけではありません
木部の状態を確認し、傷みや補修が必要な箇所を一つひとつ確認していきます
内部のクッションや構造も含めて、これから先も使える状態なのかを見極める
古い家具だからこそ、丁寧に状態を確認することが大切です
そして必要な部分には、きちんと手を入れる
見えなくなる部分にも、手を抜きません
生地が変わると、椅子の表情も変わる

張り替えで大きく変わるのが、生地です
今回選んだのは、もとの椅子が持っていた雰囲気を大切にしながら、今の暮らしにも自然になじむファブリック
同じ椅子でも、生地が変わるだけで印象は大きく変わります
だからこそ、生地選びはとても重要です
「好きな生地を選ぶ」だけではありません
椅子のデザイン
木部の色
お部屋のインテリア
カーテンやソファとのバランス
そして、これから何年使っていくのか
そうしたことまで考えながら、一緒に選んでいきます

そして、もう一度暮らしの中へ
修理と張り替えを終えた椅子は、見違えるような姿になりました

長い年月を過ごしてきた木の表情はそのままに
新しいファブリックをまとい、もう一度、暮らしの中で使える椅子へ
新品になったわけではありません
むしろ、これまで過ごしてきた年月があるからこそ出る味わいがあります
それは、新しい家具を買うことでは得られないものです
お客様に完成した椅子をご覧いただいたとき
そこには、椅子そのものへの喜びだけではなく、昔の記憶がよみがえるような表情がありました

捨てる前に、相談してみる」という選択
家具が古くなったとき
私たちはつい、
「もう買い替え時かな」
と考えてしまいます
もちろん、すべての家具を修理できるわけではありません
状態によっては、買い替えたほうがいい場合もあります
でも、もしそこに思い出があるのなら
捨ててしまう前に、一度ご相談いただきたいと思っています
その椅子が、もう一度使えるのか
どこまで直すことができるのか
どんな生地に張り替えれば、これからの暮らしに合うのか
私たちと一緒に考えてみませんか

思い出は、写真だけに残すものではない
古い写真の中に写っていた一脚の椅子
そこには、家族が過ごしてきた時間がありました
そして今、その椅子は再び暮らしの中へ戻っていきます
家具は、使い続けることで新しい思い出を重ねていくことができます
40年前の思い出が、これからの10年、20年へつながっていく
それは「修理」というより、
思い出の続きをつくることなのかもしれません
大切な椅子を、捨てるか迷ったら
その前に、一度ル・ドファンへご相談ください
あなたの椅子にしかない物語を、もう一度、暮らしの中へ